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君はフィクション 中島らも

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君はフィクション 中島らも

 俺は短編小説が好きだ。

日常のちょっとした隙間に、例えば電車に乗って駅から駅の隙間の記憶の中に別世界を滑り込ませることができる。

 

短編小説は余韻が大事だ。

その短い物語の中で完結してしまっては面白くない。物語の前後を空想してしまうような短編小説は、十分余韻を楽しむことができる。

電車のドアが開いて少し気になる女性が乗り込んでくるなどしたら、そこからあれこれと空想してしまうような。

 

久しぶりに短編小説集を買ってきた。

俺の好きな中島らもさんの最後の短編集だった。

らもさんが亡くなってもう13年も経つというのに、今頃読むとは・・・

俺はそれほどまでに、らも文学から離れてしまっていたのか。

 

前置きが長くなってしまったが、この短編集はものすごく面白かった。

夕方ジョギングに出かけ、戻ってきて懸垂を10回ほどやって汗だくで炭酸水をグイグイと飲み、顔を洗ってもまだ全身から滝のような汗が出ているにもかかわらず、ふと短編集を手に取り、汗だくのまま1編を読み終えてしまった。まるで変態行為をしているようだった。

 

君はフィクション

この物語にはおそらくはそこそこの有名作家であろう男とその彼女、香織が、パークハイアット東京の52階のバーから始まる。香織には詩織という双生児の妹がいて、男に詩織の話もよく聞かせていた。作家と香織はスイートルームで楽しい一夜を過ごす。

ある日、香織と待ち合わせをしたが、仕事のトラブルでこれなくなった。その代わりに現れた女は香織とは全く違う、派手な格好をした詩織だった。 男は詩織とも関係を持ってしまうが、意外な結末にニヤリとさせられた。

 

結婚しようよ

日本のヒッピー時代、天王寺の野外音楽堂で出会った女、ポコとフーテン男の話。

野外コンサートには吉田拓郎遠藤賢司かまやつひろしミッキー・カーチス小室等南こうせつ、はっぴえんど、三上寛などのミュージシャンが登場する。このあたりの音楽ネタも中島らもの得意とするところだ。特にはっぴいえんどの演奏の描写は興奮するものがあった。コンサートも終わりバスの中でフーテン男はポコにプロポーズするのだが、またまたニヤリとさせられた。

 

表題作『君はフィクション』ほか、単行本未収録の幻の3作品を特別収録した中島らも最後の短編集。

君はフィクション (集英社文庫)

君はフィクション (集英社文庫)

 

 

短編小説は短時間で別世界へ連れて行ってくれる。

PS:何か良い短編集があったら教えてください。

 

中島らも文学