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夜明け前

天才ちゃん夜明けに眠る

鶴橋駅のホームで、私は人の命を思った。とある日の忘れることのできない数分間

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とある日の出来事

 

人で溢れかえる大阪の近鉄鶴橋駅
 
私が階段を下っている途中で、すぐそばを歩いていた人が突然倒れた。

 

あっ!と思い私の身体は自然に動いていた。
私はその人をとっさにキャッチ。

 

倒れた人は既にケイレンを起こしていた。もう一人とっさに支えたくれた人に助けられ階段の下まで運んだが、目は白眼を向き今にも泡を吹きそうな感じだった。倒れた人は障害者手帳を持っていた。

 

身近にいた男性が駅員を呼び、救急隊を呼んでくれていた。そのもうひとりの男性が気道を確保して待機。その短い時間の間、私はその人の手を握り『生きろよ』と念じていた。手は温かかった。まもなく救急隊が到着し引き渡した。

 

数人と駅員さんで冷静な対処をした。

 

「邪魔やなぁ!」

 

という大きな声で怒鳴って通り過ぎる人の声も聞こえた。だけど私はさほど気にならなかった。何も見なかったように通り過ぎ我先にと電車に乗り込む人が99.5%。カラカラに乾いた冷たさを感じた。

みんなが立ち止まってもどうしようもないし、たまたま私の側の人が倒れ、それをキャッチしただけのことだ。タイミングがズレればきっと私もあの波にのまれて電車に吸い込まれるように乗る側の人間になっていただろう。

 

 

しかし世の中は私が思っている以上にネガティブなエネルギーが蔓延しているように感じた。ほんの数分の出来事だったけど、私には忘れることができない数分となった。